[途上国] 薬剤耐性菌「スーパーバグ」に脆弱な途上国

「薬剤耐性」とは、抗菌薬の使用に伴って病原体が変化し、特定の種類の抗菌薬・抗生物質が効きにくくなる、または効かなくなることを指す。この薬剤耐性を持つ菌のことを”Superbug”(スーパーバグ)と呼ぶこともある。 現在、世界では年間70万人がこの薬剤耐性によって死亡しており、対策を一切講じなければ2050年までに1000万人の死者が出ると試算されている。

これを受け、世界保健機関(WHO)は薬剤耐性問題を「国際保健における非常に大きな脅威の一つだ」と位置付けており、2015年の総会では薬剤耐性の問題に対する、グローバル・アクション・プランが策定された。 日本政府はグローバルヘルス技術振興基金(GHIT)と「アクセスと提供に関するパートナーシップ(ADP)」という補完し合う二つのプロジェクトの支援を通じて薬剤耐性の問題に貢献することで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ分野でのリーダーシップをとっている。

[全世界] 中国の資源ごみ輸入禁止に伴う廃棄物引受先不足

これまで世界の半分以上の廃プラスチックの処理を引き受けていた中国が、2017年末にその輸入規制を開始した。それにより先進国を中心とする廃棄物輸出大国が新たなリサイクル先の発掘や処理方法に苦心している。

最盛期の2015年には全世界で廃棄されたプラスチックの総量の3億トンのうち、88万トンが中国に輸出され、リサイクルされていた。その主な輸出国は、EU、アメリカ合衆国、次いで日本だった。輸入した廃プラを中国は資源として再生し、活用してきたが、2017年には廃棄物処理政策を一変させた。 中国国内に出た影響としては、それまで廃プラスチックを引き受けていたリサイクル業者が輸入先を失ったことだ。中国国内のリサイクル業者の約1/3は国外へ工場を移すことで規制を受けないようにするなどしている。

一方国外では大量の廃棄物処理を中国に頼っていた、日本を含む欧米の先進国が廃棄物の新たな引き受け先探しに苦心している。応急処置として東南アジアへの輸出が行われた一方で、中国同様に廃棄物輸入にかかる環境の悪化を懸念して、規制を開始する国々もではじめている。

[ヨルダン] アカバ湾プラスチックゴミ増による海の環境破壊問題

ヨルダンは国のほとんどを隣国に囲まれているため、アカバ湾はヨルダン唯一の海への出入口である。アカバ湾の海洋生態系は多様性に富み、実にユニークで貴重なエコシステムを形成しているが、近年の観光客増加とプラスチック製品等のゴミにより海岸が汚染されてきており、アカバ湾およびアカバ湾を含む紅海、また世界中の海への海洋汚染が心配される。そこで海洋ゴミを減らすため、特に海岸で発生するゴミを減らす工夫が必要とされている。

[ナイジェリア] 出産時の輸血不足による難産、死産率の高さ

ナイジェリアは輸血用血液製剤の不足が深刻な問題となっている。現在1億8000万の人口を抱え、年間150万パイント(約71万リットル) もの輸血血剤が必要とされているが、およそ1/3の準備量に留まる。またこの1/3のうち60%以上は患者家族からの提供で、残り40%は商用の血液製剤を購入したものとなっている。献血ボランティアで収集された血液製剤はほぼ皆無。ナイジェリアは死産率の高さは世界第二位となっており、その死の多くは、その場においての輸血対応ができないことによるものである。

[インド] 急激な人口増によるごみ問題と衛生問題

人口増加が急激に進むインド アッサム地方。このインドの極東北エリアにおいて、現在、生活人口の増加によるゴミ問題が深刻になっている。特にプラスチックごみの増加については、毎年38.86トンもの廃棄プラスチックが発生しており、紅茶の産地としても名高い当地域の自然環境にたいして、直接的または間接的に悪影響をおよぼしている。当該地域にある技術的または資金的なハードルをクリアしつつ廃棄プラスティックをリサイクルできる仕組みが必要とされている。

[イタリア] 米農作における害虫予防農薬の過剰使用による汚染

米はイタリアにおいて基本食物であるものの、その耕作時には環境破壊につながる問題を抱えている。深刻な不作を引き起こしかねない問題、すなわち害虫の発生を防ぐための大量の農薬使用である。 殺虫剤利用により引き起こされる環境破壊の問題は、農薬に対する抗体が生じてさらに農薬が効かなくなるという悪循環を引き起こし、環境破壊はもちろん、人体への直接的な健康被害を引き起こし、長期的に見ると農業の生態系全体の持続性をも破壊する危険をはらんでいる。 したがって、人体や環境に対する有害性、危険性を極力低減化しつつ、害虫被害を抑えて経済的痛手を被らないようにするための、米作物保護のための新たな戦略が必要とされている。

[ニジェール共和国] 砂漠化による貧困と紛争の拡大

サヘル地域では、地質上の特徴、樹木の伐採、家畜の放牧による植物の採食、農耕活動による地表面の攪乱などにより、土地の砂漠化が進んでいます。

また、このサヘル地域にあるニジェール共和国では、西アフリカ最大の民族であり農耕民であるハウサが生活していますが、村では人口の急増が進み、農耕活動に必要な農地の拡大が問題となっています。当該地域にはウシやラクダなどの飼育を行う牧畜民のフルベやトゥアレグも居住しています。牧畜民は、農耕民が所有する家畜の放牧の世話を受託したり、農耕民の農耕物を他地域で販売するなど、農耕民と牧畜民は共生していますが、毎年7月から11月までの雨季になると、牧畜民の家畜が農耕民の農作物を食べてしまうなど、農耕民と牧畜民の生活スタイルがぶつかりあうことで、紛争が発生しています。

このように、急激な人口増加と農地拡大、家畜頭数の増加、経済活動の活発化などが砂漠化を進行させており、それらと同時に土地不足による紛争も発生しています。

[ベトナム] 配送サービスの安全性に対する不安

Eコマースの普及により配送サービスの需要が年々増加しており、ベトナムでは道が狭いため、バイクによる配送が主流。しかし、盗難を懸念し、オンライン・ショッピングで高額な買い物を避けている人も多い。また、軽トラックによる配送に関しては物流システムをまとめる主要な企業が現時点ではおらず、配送に使われる軽トラックの93%は個人所有であり、且つ別の本業を持っている人も多いため配送の価格や質が統一されていない。その為、特に小規模事業者が配送依頼の都度ドライバーと交渉を強いられている。

しかし、ベトナムの主要メディアであるVietnamNetによると2020年にはベトナムのオンライン・ショッピング市場規模は100億ドルになると予想されており、増加する需要に伴って配送システムの構築が必須。また、今は化粧品や消費財が主に購入されているが、今後食品等の衛生面が重要な商品の需要も増えてくると予想される。

[インド] 水産業を育てるためのネットワーク不足

インドでは、水資源へのアクセスはあるものの、汚染されていたり、資金不足であったりして、清潔な水へのアクセスは限られている。特に、パートナシップが欠如しているために、専門家がその土地にあったソリューション提供するための必要な資金調達の機会を得られていない。 連邦政府は、この事態を何とかするため、国策の最優先事項として多くのプロジェクトを立ち上げた。その結果、影響力のある投資家やグローバル企業の間で市場参入の関心が高まっている。

しかし未だ、必要設備の調達やプロジェクト資金、規制や法的枠組み、地元ネットワークの欠如といったリスクが懸念されるために、水分野の社会的インパクト投資や融資は取るに足らない額である。(社会的インパクト投資全体金額6.5億ドルのわずか 3-8%) 水分野の地元企業はいくつか存在するものの、そちらもビジネスを拡張するための技術的財政的能力が欠けていることが課題となっている。