[インドネシア] 都市の地盤沈下進行と更に悪化する洪水被害
2020年2月5日に投稿された課題
投稿者:SHIP Secretariat
所属:SHIP
分野・テーマ:
- 気候変動
- 災害
- 水
- 保健・医療
- 衛生
- インフラ・交通
- まちづくり
場所:地域:アジア・太洋州諸国 国:インドネシア 市町村:ジャカルタ
関連SDGs
課題・ニーズ
インドネシア首都ジャカルタとその周辺で2019年大晦日に発生した大洪水。1月8日のTIME紙報道によれば、死者66人にまで達する大災害となっている。
https://time.com/5761097/jakarta-indonesia-floods/
”ASEAN人道支援センター(AHA)発表によると「ジャカルタと西ジャワとバンテンの3州では地滑りと鉄砲水により、36,000人以上が避難。2013年、29人の犠牲者が出た当時「史上最悪」といわれた大洪水を、更に上回る規模の被害となっている。専門家は、急速に進む都市ジャカルタの地盤沈下が、気候変動による洪水被害を更に拍車をかけているという。また、洪水被害によって、これらの国々が抱える貧富の差を更に拡大させる恐れもあるという。
また地元のメディアあるTempo.Coによると、この異常な降雨により地盤が緩んだことによって発生した地滑りと鉄砲水が、バンテンのLebak地区の住民約17,200人の生活に大きな影響を与えている。警察発表の情報では、16のモスクが洪水によって損壊とされている。”
この気候変動によるとみられる水害の頻発に対して、更に被害を大きくしているのがジャカルタの深刻な地盤沈下である。TIME紙の同記事によればー
”世界銀行によると、北ジャカルタの一部の地域は年間で6〜10インチ(20-30センチ)も地盤沈下しており、2025年までには、最大海面下16フィートにまで下がる危険性があるという。”
近年、急速に発展し、急激な人口増加となっているジャカルタ。その都市が水没する原因は主に2つの要素があるといわれている。一つは、市民による地下水の違法汲み上げの結果により引き起こされた地層内の空洞化。そして、もう一つは、地球温暖化による海面上昇である。
ジャカルタは漁港都市として海抜の低い湿地帯上につくられ、発展した街であり、地盤も弱い。その上、上下水道のインフラ整備が急激な人口増加に追い付かず、水道インフラの整備がなされていない。生活水の急激な需要増に都市インフラが追い付いていないため、住民による地下水の違法取水が横行しているのだ。そうした生活基盤の整備の遅れが、地下の空洞化を進行させている直接の原因と言われている。
多くの支援組織や援助国からの指摘を受け、インドネシア政府は、ジャカルタ市内の水道インフラの整備や、洪水対策のための巨大な防潮堤の建設を進めているが、今年1月に起こった被害は、首都ジャカルタの都市としての機能崩壊が相当なレベルで進んでいることを表している。
都市の水道インフラの不整備や、気候変動による災害の影響を最小限に食い止めるための施策が喫緊で求められている。
課題に関する考察・その他
出典
https://time.com/5761097/jakarta-indonesia-floods/
関連サイト
https://www.jica.go.jp/project/indonesia/019/outline/index.html
https://www.bbc.com/news/world-asia-44636934
https://www.bbc.com/news/world-asia-50969418