[インド] 宗教や因習により改善が進まないトイレの設置

2019年3月1日に投稿された課題

投稿者:SHIP Secretariat

所属:SHIP

場所:地域:アジア・太洋州諸国 国:インド 市町村:

関連SDGs

課題・ニーズ

インドでは国民の半数以上、つまり6億以上の人々が昔から続く屋外排泄の習慣をいまだに続けている。このことにより不衛生による感染症の拡大、女性に対する犯罪の助長など、数々の深刻な社会問題が引き起こされている。この屋外排泄習慣の是正を最大の課題の一つとするモディ首相の主導の下、国内外からの支援によってここ数年急ピッチで公衆トイレの設置が進められている。だが、トイレの実際の利用率は上がっておらず、いまだに屋外排泄を続ける人が多いのが現状である。

特に言われているのは宗教による価値観の問題である。同じインド国民でも、特にイスラム教徒よりヒンズー教徒のほうが、屋外排泄を好むと言われている。かれらは、仮に自分の家に使えるトイレが設置されていたとしても、敢えて屋外排泄を選ぶ傾向があると言われている。これにはいくつか理由がある。一つはヒンズー教徒には「浄」と「不浄」の概念があり排泄は「不浄」。それを自分のいる場所(家)からは、できるだけ遠ざけたいという心理があるらしい。また、トイレのメンテナンスや維持管理は「不浄なこと」の一部であり、それをやるのは「カースト制度の下層の人々」という社会認識が根強い。トイレそのものに関わることを忌み嫌う傾向があるのだ。

そうした人々の意識もあり、国の政策でその地域に公衆トイレが設置されても、それを維持管理する人がいない。また自治体がそれを管理するための仕組みやルールを整えないことから、一部のトイレは上下水道の整備もなく全く使えないものであったり、大雨の際にタンクに溜まった汚物があふれ出て汚染被害がでる等、持続可能な形での利用がされていない状態となっている。結果、トイレとして設置したはずの建物を、近隣の農民が農具や燃料(牛糞)の保管場所として使うなど、本来の目的を全く果たしていない状況となっている。

問題の背景、そして人々の文化や価値観をきちんと理解し考慮したうえでの、持続可能な解決策の考案が求められている。

課題に関する考察・その他

出典

https://theprint.in/governance/hindus-are-less-likely-to-use-a-toilet-than-muslims-in-india/44959/

関連サイト

参考資料