[インド] 交通事故を誘発する劣悪な道路状態
2018年11月12日に投稿された課題
投稿者:Ayana ADACHI
所属:UNDP
分野・テーマ:
- インフラ・交通
- まちづくり
- 安全・セキュリティ
場所:地域:アジア・太洋州諸国 国:インド 市町村:
関連SDGs
課題・ニーズ
インドでは、国の急成長に合わせ道路のインフラ整備も急ピッチで進められているが、その道路の舗装の質は悪く、至るところに陥没や崩落による「穴」があき、これらが原因とされる交通事故が多発している。2017年、陥没やくぼみが原因と思われる交通事故だけで、年間3,597人が命を落とし、また約25,000人が負傷している。
そうした危険な「穴」が生じる原因の一つに、インドの道路工事の技術の低さが考えられている。現在のインドではとにかく「質」より「数」を優先した道路網の整備が進められているが、知見や技術が少ないまま短期間でより多くの工事を進めようとすることで、ひとたび大雨が降ると、簡単にひび割れや穴が生じるような、耐久性に欠く質の悪い道路が作られてしまっている。
最近では女性がスクーターに乗って道路を走行中、乗っていたスクーターの車輪が道路の陥没した部分にはまり、そのままバランスを失い転倒。投げ出された女性は隣の車線を走っていたバスに轢かれて死亡する、という痛ましい事故が起きた。
また、穴そのものが原因ではなく、穴を避けようとする人間心理によっても、交通事故は起こる。ほとんどの車やバイクが転倒を避けるため、そうした陥没個所や穴を見つけると、それを避けるため急な車線変更をする。そのことが原因での衝突事故もまた、多く発生しているのだ。
課題に関する考察・その他
インド国内の道路にあいた「穴」が今、深刻な社会問題になっており、現状のやり方での道路整備では、今後もさらに犠牲者を生まれることが予想される。死亡事故の裁判において、裁判官は「テロより多くの人が道路の「穴」で死亡しているのは非常に大きな問題」と述べている。この現状に歯止めをかけ、これらが原因による交通事故を無くすためには、道路工事のあり方、整備の仕方などを一から見直す必要があるだろう。日本の道路のような、安全で丈夫な道路を作る技術がインドにも導入されれば、多くの人々の命を守ることができるかもしれない。
出典
https://www.theguardian.com/world/2018/jul/25/more-deadly-than-terrorism-potholes-responsible-for-killing-10-people-a-day-in-india