[ニジェール共和国] 砂漠化による貧困と紛争の拡大
2018年7月16日に投稿された課題
投稿者:SHIP Secretariat
所属:SHIP
分野・テーマ:
- 農業・漁業
- 天然資源
- 気候変動
- 食料・栄養
- 平和・ガバナンス
場所:地域:サハラ以南アフリカ 国:ニジェール 市町村:
関連SDGs
課題・ニーズ
サヘル地域では、地質上の特徴、樹木の伐採、家畜の放牧による植物の採食、農耕活動による地表面の攪乱などにより、土地の砂漠化が進んでいます。
また、このサヘル地域にあるニジェール共和国では、西アフリカ最大の民族であり農耕民であるハウサが生活していますが、村では人口の急増が進み、農耕活動に必要な農地の拡大が問題となっています。当該地域にはウシやラクダなどの飼育を行う牧畜民のフルベやトゥアレグも居住しています。牧畜民は、農耕民が所有する家畜の放牧の世話を受託したり、農耕民の農耕物を他地域で販売するなど、農耕民と牧畜民は共生していますが、毎年7月から11月までの雨季になると、牧畜民の家畜が農耕民の農作物を食べてしまうなど、農耕民と牧畜民の生活スタイルがぶつかりあうことで、紛争が発生しています。
このように、急激な人口増加と農地拡大、家畜頭数の増加、経済活動の活発化などが砂漠化を進行させており、それらと同時に土地不足による紛争も発生しています。
課題に関する考察・その他
2003年から、農村や都市での農業や牧畜によってできる有機ごみを荒廃地に投入することで、緑化の実験が進められています。有機ごみの投入により、土地の植物生産力は回復しますが、植物を刈り取ると再びすぐに荒廃することが判明したことから、2011年からはより大きな規模で、都市のごみを荒廃地に投入したところ、草地へと回復が進んでいます。雨季には放牧地を探すのに苦労する牧畜民ですが、家畜が自由に植物を食べないようにフェンスで囲っている草地へその家畜を入れ、糞を土地の栄養分として共有させたところ、2014年には、草が家畜によって食べられても、その栄養分で樹木が成長し茂みを作り始めました。
このように、都市ごみや家畜を有効活用することで、砂漠化の抑止や土地問題をめぐる紛争の防止につなげるといった知恵、長期的な視点、どのステークホルダーも排除しない共生の尊重が求められています。
出典
関連サイト
http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/84950/1/field-14_p20-21.pdf