アフリカ全体では生産される食品の33%（13億トン）が小売業者に達する前に破棄され、店頭で販売される食品の40%も破棄されています。これは12億人に食料を供給できる量になります。また、世界での食品ロス率は平均33%なのに対しナイジェリアでは80%になり、且つ食品ロスによる経済損失は年間7,500億ドルにのぼると言われています。

農業はナイジェリア経済の最大のセクターであり、労働力全体の３分の２は農業で働いています。しかし、物流システムや道路等のインフラ整備が整っていない事から、収穫後の農産物の大半が失われています。 例えば、ナイジェリアはアフリカでトマトの生産量が２番めに多く、年間150万トンを生産していますが、収穫後50%は傷んで破棄されています。主な原因として、収穫の際にトマトの入ったバスケットを重ねている点、収穫後のトマトを保管しておく倉庫が足りない点、そして低温流通体系（コールドチェーン）が無いため長距離移動の際にトマトが傷んでしまう点があります。

低温流通体系が整っていない事が食品ロスの大きな要因にはなっていますが、そこ以外にも農家が収穫物を傷めずに保管する知識・技術・設備を整え、包括的にナイジェリアの農業インフラを整えていく必要があります。

大々的な低温流通体系を導入するのには莫大な投資や政府の協力も必要になってくる為、多くのスタートアップはオフグリッドを活用した簡易的なコールドチェーンのようなサービスを構築しています。

例えば、ナイジェリアのCold Hubs社は電力供給が安定していない農村部では太陽光発電を活用した農産物用冷蔵庫を設置し、日本のコインロッカーの様に使いたい時に料金を支払うシステムを導入しています。

低所得者層の農家も多いため、初めは低価格でサービスを供給し、廃棄物が減ることにより収入も上がり、さらにサービスを利用できるようになるアップサイクルを作るのが重要になります。

http://www.coldhubs.com/
https://agronigeria.com.ng/nigeria-food-waste-at-750bn-yearly-danfoss/