[全世界]食糧の安定供給と地球温暖化対策の両立
2020年10月15日に投稿された課題
投稿者:事務局SHIP
所属:
分野・テーマ:
- 農業・漁業
- 生態系
- 海洋
- 食料・栄養
- 廃棄物・汚染
場所:地域: 国: 市町村:
関連SDGs
課題・ニーズ
世界の食肉生産は、1960年と比べ5倍にまで増加しています。原因は、世界的な人口増加や途上国の急速な経済成長に伴う、消費者の所得増加による食肉消費の増加です。食肉需要を補うことは食の安定供給のためにも急務となっていますが、食肉の生産は地球環境に大きく影響しています。国連のレポートでは、世界の温室効果ガスの排出元の14.5%が家畜であるとされており、食肉用の畜産が環境に大きな負荷となっていることがわかっています。 人口増加に伴う食肉需要への対応、そして地球温暖化への対策。エネルギー資源等がクリーンエネルギーを開発し、エネルギー需要と環境への配慮を同時に解決してきた例はあります。しかし、食肉の観点からこれら二つを両立することは現状非常に難しい課題となっています。現時点で行われている対策としては、肉の代わりに大豆を使用したソイ・ミートなどがありますが、本物の肉を食べたい消費者の間では普及率は高くありません。
そんな中、近年新しいアプローチで地球環境の改善を目指す動きが数多く登場しています。その一つが細胞培養肉の開発です。現在の細胞培養肉の製造・開発は牛肉・豚肉・鶏肉・魚にまで及んでおり、主にハンバーガーのパテやナゲット、ミートボールなどの加工肉としての使用が目されています。スタートアップ企業が生み出す技術に世界の注目が集まり、数々の大企業が投資を始めています。たとえば世界最大の食品多国籍企業である Tyson Foods は、細胞培養肉の開発を進めるスタートアップ、Mosa Meat社に対し8億円の開発投資を行いました。また日本でも、Integri Culture社がシンガポールのShiok Meats とともにエビ細胞培養肉の共同研究を開発すると、今年7月20日に発表しました。
Journal Environmental & Science technologyの調査によると、現在の食肉生産が完全に細胞培養肉に替わった場合、温室効果ガスの排出をはじめ、エネルギー使用・土地利用・水の使用などの環境への影響を平均して80~90%も削減できることが示唆されています。地球温暖化・気候変動問題の解決は非常に重要な項目として、現在のSDGs だけではなく長年議論が交わされている項目の一つです。1992年に採択されたAgenda 21-Climate Changeをはじめとし、日本で採択された京都議定書など長年対策が講じられてきている地球温暖化ですが、気候変動による地球の変調は年々大きくなっています。
一部の統計では世界の細胞培養肉市場は、年間15%の成長率を有し、2025年には214億円の市場になると予測されています。シャーレの上で作られた肉が食卓に並ぶ日も近いかもしれません。
課題に関する考察・その他
出典
https://www.thepoultrysite.com/news/2020/09/gen-z-not-ready-to-eat-lab-grown-meat-survey-reveals
https://theveganreview.com/cell-based-meat-cultured-meat-alternatives-are-on-the-rise/
関連サイト
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fsufs.2019.00011/full
https://jp.techcrunch.com/2020/07/20/integriculture-shiokmeats/?guccounter=1
2019/05/10/Affordable-lab-grown-meat-India-looks-to-become-global-cell-based-meat-hub.%20Accessed%2015%20April%202020.
https://futurism.com/china-signed-a-300-million-lab-grown-meat-deal-with-israel,