[日本]コロナ禍で浮き彫りになるフラワーロス

クリスマスや新年の祝い事、成人式と、年末年始の様々なイベントを華やかに彩る生花。しかしながら、コロナ禍で多くの催事が中止やオンライン化する中で需要が低迷し、生産された生花が大量に廃棄される「フラワーロス」の状況が浮き彫りになっています。常に生花業界に内在していた課題が顕在化し、各業界で解決に向けた新たな試みが始まりました。

 

ロスフラワーを使った装飾での課題発信

ラフォーレ原宿では、今年のクリスマスシーズンの装飾に廃棄された生花「ロスフラワー」による館内装飾をほどこしました。廃棄植物を用いた空間装飾やフラワーアレンジメントの教室などを手掛ける株式会社RINがプロデュースした装飾は、訪れる人々の目を楽しませるとともに、持続可能な社会に向けたメッセージを発信。

一度廃棄され活力を失った生花も、手入れにより見事に息を吹き返し、また、ドライフラワーとしてアレンジすれば見事に美しい姿で人々を楽しませてくれます。

 

「チャンスフラワー」としての格安販売と再利用

廃棄予定の生花を「チャンスフラワー」とブランディングし、フラワーロスの削減に努める生花店もあります。東京都港区の生花店hananeでは、生産量全体の2〜3割をも占める規格外の生花を農家から買い取り、1本100円程度と市場価格よりも廉価にに消費者に提供しています。

hananeにおけるチャンスフラワーの売上は、多い時で月間9000本。2020年からはブックオフの一部店舗でも取扱いがはじまるなど事業は広がりを見せています。

 

 

日本国内の切り花の購入金額は1990年代をピークに業界全体で右肩下がり。

そんな時流においても、生花業界は生産者から農協や市場が買い取り、卸業者を通して小売業者が消費者に販売するという典型的なプロダクトアウト型の構造をしているため、「規格ロス」の他にも、流通過程で発生する「マージンロス」や、小売店における需給のアンバランスによる「鮮度ロス」と、多段階のロスが発生しています。また、一般的に出荷数の約3割が過剰在庫として廃棄されるため、損失分の仕入れコストを上乗せした販売価格が設定され、消費者の足が遠のくという悪循環も指摘されています。

定期的に一定量の旬のお花が手に入るサブスクリプション型の販売など、イノベーションが起こりつつある生花業界に、サステナブルな取り組みが求められています。