[ミャンマー] 都市の人口急増に伴う家庭ごみの路上投棄の増加

ミャンマーの都市ヤンゴンでは人口の急増につれて家庭ゴミの量が増しており、モラルの無い住民による街路へのゴミ不法廃棄が深刻な問題となっている。

同都市では数年前から取り上げられている問題だが、増える人口とゴミの量に対して対策が追い付いていないのが現状。今年2018年6月には、モンスーンによる豪雨により路上に投棄された大量のゴミが押し流され、排水溝の一ヵ所に集中し水の流れをふさいだため、都市住宅街が浸水被害にあうという事態も起こっている。

同市の環境保護清掃局によれば、近年ヤンゴンで生まれるゴミの量は全体では一日当たり2387トン、住民一人あたり0.6キロの計算となり、10年前の約2倍の量になるとのこと。現在、同市清掃局が回収処理できるゴミの量は一日当たり2057トン。つまり毎日約300トンのごみが回収できないままで、路上や水路に不法投棄されていると見られている。

[インド] 三輪タクシー「リキシャ」運転手の貧困と健康被害

インドには600万台の三輪車タクシー「リキシャ」があり、1,200万人のドライバーがいるが、中には1日で400円程しか稼げず、家計を支えられずホームレスになってしまう人もいる。しかし、多くの運転手はリキシャをレンタルしており、レンタル代を支払う為に手取りが少なくなるが、リキシャをレンタルできないと収入を得られないという悪循環に陥っている。

また、世界保健機関(WHO)が発表した世界で最も大気汚染が深刻な14の都市は全てインドにあり、リキシャの運転手は常にマスクを着用しながら働いていても健康に悪影響を及ぼしている。特に、リキシャには圧縮天然ガス(CNG: Compressed Natural Gas)で動く種類と、運転手が自らペダルを漕ぐ種類がありるが、ペダル型の運転手は肺活量が多くなり、PM2.5が肺や血液に入り込み、特に健康被害が深刻になっている。

BBCが行ったインタビューに対し一人のリキシャ運転手はこう答えている。

「私は1日で約300ルピー稼いでいますが、その一部を自身の食料に使い残りは妻と二人の子供の為に貯金しています。家計は私が支えないといけないので、例え息をするのが苦しくても働き続けなればいけません」

以下原文:

“I earn around 300 rupees ($4 ;£3) a day and spend some of that on buying food and save the rest for my wife and two children. My family depends on me, so I have to keep working – even if I am struggling to breathe” 

[サハラ以南アフリカ] 男子の8割台にとどまる女子の中等教育就学率

世界において、初等教育の就学率は男子が91%、女子が89%と、男女格差は減ってきている。しかし中等教育(中学・高校)においては、男女格差が依然として存在しており、とくにサハラ以南アフリカでは、男子を100とすると女子の就学率はまだ87%にとどまっている。

女子の中等教育への就学を阻んでいるのは、例えば「女性は教育を受けるべきではない」「家事をするのに教育は必要ない」「女の子は早く結婚して家を守るべきだ」といった女子に対する伝統や宗教による差別、偏見などの要因がある。

親が経済的に余裕がなく、なおかつ多くの子供がいる場合、まずは男の子を優先的に学校へ通わせようとする文化傾向もある。

また、教育施設の問題として、例えば「そもそも学校に女子トイレがない」ことや、「学校までが道のりが遠く、女子生徒を通わせるのが危険」などの問題も挙げられている。

[オーストラリア] プラスチックゴミによる海洋汚染

オーストラリアでは毎年300万トンのプラスチック(レジ袋、ストロー等)が製造され、その内13万トンが最終的に海に流れ着いている。実際、2016年から2017年にかけてオーストラリアの海岸沿いに流れ着いたゴミの75%はプラスチックとなっている。 流れ着くゴミ以外でも、オーストラリアでは1日で100万のレジ袋が使用されており、プラスチックゴミ削減を目指すオーストラリア政府は2018年7月よりレジ袋の使用を禁止したが、既に海に捨てられているゴミを回収する必要もある。実際、頻繁にボランティアによるゴミ拾いが行われており、2016年には260万個のプラスチックゴミが拾われたが、より効率的にプラスチックゴミを削減する対策が求められている。

[インドネシア] パーム油及びその代替品の生産による環境破壊

パーム油は化粧品、石鹸、食品等の様々な日用品の原材料であり、近年ではバイオ燃料としても利用されている、世界で最も生産されている植物油となっている。しかし、その生産には膨大な土地を必要とし、農地の確保のために多くの熱帯林が伐採され、焼き払われている。

一方、パーム油の代替品として考えられている菜種、大豆、ヒマワリ等の生産にはパーム油の最大9倍の土地を必要とし、熱帯雨林やサバンナの生物多様性が更に脅かされることになる危険性があると、国際自然保護連合(IUCN)は警告している。

パーム油に対する需要を満たしつつ、環境破壊を食い止められるような新たな解決策が求められている。

[ベネズエラ] 貧困による育児放棄や孤児の急増

ベネズエラは以前は石油大国として知られていたが、2014年の石油価格暴落に伴い、今まで石油に頼りきっていた経済が崩壊。2018年1月時点でインフレ率が1万%となっている。そのような経済状況において、日用品や食料品の価格は高騰し、基本的な生活すら立ちいかない住民が急増しており、国外に移住する人が230万人にものぼっている。そんな中、移民という手段が取れず国内で生活を続けざるを得ない貧困層の人々は、自らの子供を養うことすらできなくなり、育児放棄や養子に出す親が続出。また、他の子の食料を優先するため、「口減らし」的に年長の子供が自ら家を去らざるを得なくなり、その結果スラム街で暮らすようになるという負の連鎖が起こっている。

[ギリシャ] 森林火災時の避難を困難にする違法建築

2018年7月、ギリシャ・アテネ近郊で起きた森林火災は史上まれにみる大惨事となった。火災の中心地となったリゾート地マティでは焼失家屋2万5000棟以上。また人命被害では死亡者80名以上、行方不明者100名以上と言われている。

現地の報道によると、被害拡大の背景に指摘されるのは都市計画上の問題。森林に隣接する形で多くの家屋が建築され、道も狭いため、消防車などの接近を難しくした。また、こうした有事の際に正式な避難指示が出されず、政府の災害時の対応計画はあっても、自治体を含む連携が不十分だった可能性もある。

同国の国防相は被災地に違法建築が多かったことは被害拡大の一因だとし「法を守らない危険を理解するとき」との見解を示している。

[キューバ] 乱獲と漁業管理機能の不備による漁猟資源量の低下

キューバでは監視員・監視船・燃料がないために十分な乱獲の取り締まりが進まず、沿岸の漁業資源量が低下している。これを受けて、1985年には1人当たり20.48kgだった水産物消費量が、2013年には5.57kgと4分の1に減少した。 また、漁獲高を把握したり、売買記録を管理する体制が整備されていないことも漁業資源量低下の原因となっている。キューバでは、個人で操業する漁師と「パラダール」と呼ばれる個人経営レストランの間で直接、魚が取引されることが多いのがその原因。

[ミャンマー] 中央乾燥地域での深刻な安全な水へのアクセス

ミャンマーの総人口の約30%に当たる1,200万人が中央乾燥地域に住んでいるが、この地域の年間降雨量は400~800mmと非常に少なく、その多くが雨期の5~10月に集中している。この地域の住民は、乾期の生活用水を溜池や地下水に依存しているが、水源が枯渇したり、水質が悪化していることも多く、安全な水を求めて、女性や子供が水汲みのために数kmも往復しなければいけない。 2001年には、中央乾燥地域で安全な水にアクセスできない村は8,042カ所あった。日本のODAによる井戸掘削技術の移転や資機材の投入などによって、この数は大幅に改善されたが、2015年時点で、まだ1,711の村が安全な水にアクセスできていない。

[ナイジェリア] 出産時の輸血不足による難産、死産率の高さ

ナイジェリアは輸血用血液製剤の不足が深刻な問題となっている。現在1億8000万の人口を抱え、年間150万パイント(約71万リットル) もの輸血血剤が必要とされているが、およそ1/3の準備量に留まる。またこの1/3のうち60%以上は患者家族からの提供で、残り40%は商用の血液製剤を購入したものとなっている。献血ボランティアで収集された血液製剤はほぼ皆無。ナイジェリアは死産率の高さは世界第二位となっており、その死の多くは、その場においての輸血対応ができないことによるものである。