[全世界]食糧の安定供給と地球温暖化対策の両立

世界の食肉生産は、1960年と比べ5倍にまで増加しています。原因は、世界的な人口増加や途上国の急速な経済成長に伴う、消費者の所得増加による食肉消費の増加です。食肉需要を補うことは食の安定供給のためにも急務となっていますが、食肉の生産は地球環境に大きく影響しています。国連のレポートでは、世界の温室効果ガスの排出元の14.5%が家畜であるとされており、食肉用の畜産が環境に大きな負荷となっていることがわかっています。 人口増加に伴う食肉需要への対応、そして地球温暖化への対策。エネルギー資源等がクリーンエネルギーを開発し、エネルギー需要と環境への配慮を同時に解決してきた例はあります。しかし、食肉の観点からこれら二つを両立することは現状非常に難しい課題となっています。現時点で行われている対策としては、肉の代わりに大豆を使用したソイ・ミートなどがありますが、本物の肉を食べたい消費者の間では普及率は高くありません。

そんな中、近年新しいアプローチで地球環境の改善を目指す動きが数多く登場しています。その一つが細胞培養肉の開発です。現在の細胞培養肉の製造・開発は牛肉・豚肉・鶏肉・魚にまで及んでおり、主にハンバーガーのパテやナゲット、ミートボールなどの加工肉としての使用が目されています。スタートアップ企業が生み出す技術に世界の注目が集まり、数々の大企業が投資を始めています。たとえば世界最大の食品多国籍企業である     Tyson Foods は、細胞培養肉の開発を進めるスタートアップ、Mosa Meat社に対し8億円の開発投資を行いました。また日本でも、Integri Culture社がシンガポールのShiok Meats とともにエビ細胞培養肉の共同研究を開発すると、今年7月20日に発表しました。

Journal Environmental & Science technologyの調査によると、現在の食肉生産が完全に細胞培養肉に替わった場合、温室効果ガスの排出をはじめ、エネルギー使用・土地利用・水の使用などの環境への影響を平均して80~90%も削減できることが示唆されています。地球温暖化・気候変動問題の解決は非常に重要な項目として、現在のSDGs だけではなく長年議論が交わされている項目の一つです。1992年に採択されたAgenda 21-Climate Changeをはじめとし、日本で採択された京都議定書など長年対策が講じられてきている地球温暖化ですが、気候変動による地球の変調は年々大きくなっています。

一部の統計では世界の細胞培養肉市場は、年間15%の成長率を有し、2025年には214億円の市場になると予測されています。シャーレの上で作られた肉が食卓に並ぶ日も近いかもしれません。

 

 

 

2020.10.13 【〆切 11/18(水)に延長】Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 応募要領および国別説明会のご案内

                                 赤字:2020年11月2日追記
                                 青字:2020年11月12日追記
                                 緑字:2020年11月30日追記

                                                       
※応募締切を11月18日(水)18:00(日本時刻)に延長しました
※選定結果発表を12月上旬予定に変更しました

 

国連開発計画(UNDP)は様々な社会・環境課題の解決策を模索するため、2019年より、世界60ヵ所にUNDP Accelerator Labs(A-Labs)を展開してきました。この度、5カ国のA-Labsが特定したSDGs関連の課題に対して、UNDPとJINが共同運営するSDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)のノウハウを活用して、日本企業がこれらの課題の解決を追求する「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を実施することになりました。本事業は内閣府からUNDPへの資金拠出を原資として、11月から実施します。

この事業は、5ヵ国のA-Labsが特定した課題について、日本企業の技術・ノウハウ・ネットワークを活用した課題解決をA-Labsと日本企業が共同で検討します。現地の課題と日本企業の強みを単純にマッチングするのではなく、ビジネスを通した課題解決のための初期プロセスである「持続可能なビジネスモデルの構築とその検証」を国連機関と日本企業が共同で行う画期的な試みです。

地球規模の課題解決にイノベーション活動やビジネス活動を通じて取り組みたい企業、自社の強みを社会課題の解決に活かしたい企業、国際機関と協業してSDGs達成に貢献されたい企業を募集しますので、ぜひご応募下さい。

【事業概要】
説明資料(PDF)動画をご参照下さい

【募集対象】
・自社の強みを活かしてSDGsの達成をめざす日本の民間企業
※本事業は具体的な技術などをご提供頂ける企業と連携することを目的としており、コンサルティング会社や非営利団体はご応募対象外となります。
※日本企業の海外現地法人のご応募も可能です。
※本事業は参加企業とUNDP各国事務所が共同で推進するもので、使用言語は英語となります。
※複数国への応募も可能です(各国毎に応募書類をご提出下さい)。
※外部パートナーの技術・ノウハウ活用を前提にご応募頂くことも可能です。ただし、ご応募頂く主体自身が、主たる技術・ノウハウをお持ちであることが前提となります(外部パートナーは応募主体のノウハウ・技術を補う役割)。外部パートナーを活用される場合は、その社名と役割も応募用紙にご記載下さい。
※各国資料の中で日本企業に期待する技術・ノウハウが複数記載されている場合がありますが、全ての技術・ノウハウを提供して頂く必要はありません。ひとつ以上の技術・ノウハウをお持ちであれば、ご応募頂けます。

【対象5ヵ国のプロジェクト内容とA-Labsが特定したSDGs関連の課題】
インド:ブロックチェ―ンを活用したスパイスの生産・流通管理
                課題(PDF)
フィリピン:マニラ湾周辺の海洋プラスチックごみ削減
                課題(PDF)
ベトナム:ダナン市の廃棄物処理システムのデザインと導入
    課題(PDF)
トルコ:マルマラ地域の市民参加型の公共スペースの設計
    課題(PDF)
マラウイ:都市部の廃棄物収集・処理・リサイクルの導入
    課題(PDF)

※国別説明会での各国のプレゼン資料をご希望の場合は、SHIP事務局(ship@ji-network.org)にご連絡下さい。

【スケジュール】
1. 概要説明ウェビナー[終了]:9月15日(火)・16日 (水)
2. 参加企業募集開始:10月13日(火)
3. 国別説明会[終了]:10月下旬(詳細下記)
4. 応募締切:11月11日(水)18:00(日本時刻)11月18日(水)18:00(日本時刻)に延長
5. 選定結果発表:11月下旬予定⇒12月上旬予定 
6. プロジェクト実施:契約締結次第、順次~2021年3月末

※選定された企業については、社名をSHIPホームページ、および各国UNDPのウェブサイトなどで公表させて頂きます。

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【応募用紙および参考資料】
Application Form(応募用紙)
Annex to Application Form(応募用紙別添)
上記については、英語でご記入の上、応募する国ごとに1通、添付資料とともにご提出下さい。
[参考資料] 選定後にUNDPと締結する契約書雛型

[応募書類一式の提出先]
件名を「Japan SDG Innovation Challenge_国名を英語で記入_英語社名を記入」として、PDFファイル添付で、To: lorena.sander@undp.org、Cc: ship@ji-network.org宛にお送り下さい。 ⇒締切:11月11日(水)18:00(日本時刻)

[選考基準]
1. Company has a proven track record and the financial and technical resources to undertake the activities proposed [10 points]
2. Proposal is clear, concise, and shows a clear motivation to work with the public sector, specifically with UNDP [10 points]
3. The proposal demonstrates a commitment to iterate with the Accelerator Lab and co-create concepts and/or prototypes [20 points]
4. The proposal thoroughly considers the complexity of the challenge and the national delivery context [15 points]
5. The proposal is fit for purpose in the context of the Accelerator Lab [15 points]
6. The proposal is likely to lead to a useful concept or prototype which could be scaledb [20 points]
7. The credentials of the proposed team are suitable for the tasks, as proposed [10 points]

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            【国別説明会 [終了]
事業開始に伴い、対象5ヵ国で解決をめざすSDGs課題の詳細と日本企業への期待に関して、現地A-Labの担当当者が直接ご説明する会をオンライン(Zoom)で開催しますので、ぜひご参加下さい。
※各国のプレゼン資料をご希望の場合は、SHIP事務局(ship@ji-network.org)にご連絡下さい。

[プログラム]
 1. 本事業の概要説明
 2. 解決をめざす課題の詳細と日本企業への期待(UNDP現地事務所からの説明)
 3. 質疑応答
[参加費] 無料 [言語] 英語
[開催日時]
 インド  :10/29(木)15:00-16:00
 フィリピン:10/23(金)16:00-17:00
 ベトナム :10/26(月)17:00-18:00
 トルコ  :10/29(木)16:00-17:00
 マラウイ :10/26(月)18:00-19:00

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【本事業に関するお問合せ先】SHIP事務局 ship@ji-network.org

国連開発計画(UNDP)について:貧困の根絶や不平等の是正、SDGsの達成に向けた取り組みを支援する国連の主要な開発支援機関であり、約170の国や地域で活動しています。SDGs達成に向けた現地の社会課題等の調査・分析及び課題の解決を模索するため、シュタイナー総裁の強いイニシアティブのもと、2019年7月、世界各地に60ヵ所のAcceleration Labsを設置しました。統合的解決の柱となるSDGファイナンス・イノベーション・ローカリゼーション推進の一環として、各ラボはイノベーションの一翼を担う位置づけとなっています。

一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)について:大企業・中堅企業のイノベーションを支援する加速支援者(アクセラレーター)です。経済産業省「フロンティア人材研究会」を母体とし、2013年7月に設立されました。イノベーション経営の普及(イノベーション100委員会他)、イノベーション・マネジメントシステム・アクセラレーションプログラム(IMSAP)の企画・運営、イノベーション加速支援(個別企業支援)、イノベーション・プラットフォームの構築・運営(SHIP他)の4つの活動を推進しています。

SDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)について:SDGsの達成をイノベーションの機会として捉え、企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決することを目的として2016年に一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)とUNDPが合同で設立し、運営しているオープン・イノベーション・プラットフォームです。

2020.9.16 Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 概要説明ウェビナーの資料および動画の公開

2020915()及び2020916()に開催した「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」概要説明ウェビナーの説明資料と動画を公開いたします。

概要説明ウェビナー説明資料(pdf)

概要説明ウェビナー動画

1. UNDP A-Labsについて
2. Japan SDGs Innovation Challenges概要
3. 質疑応答

対象5ヵ国のプロジェクト内容
インド:ブロックチェ―ンを活用したスパイスの生産・流通管理 
フィリピン:マニラ湾周辺の海洋プラスチックごみ削減
ベトナム:ダナン市の廃棄物処理システムのデザインと導入
トルコ:マルマラ地域の市民参加型の公共スペースの設計
マラウイ:都市部の廃棄物収集・処理・リサイクルの導入

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【Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labsについて】
SDGsが国連で採択されてすでに5年が経ちました。多くの日本企業にとってSDGはビジネスの機会であると言われるものの、そのやり方は暗中模索であるのが実態です。また、自社の活動をSDGsに紐づけて説明することで立ち止まっている企業も数多く見受けられます。コロナ禍が私たちのこれまでの価値観の再考を迫り、SDGsの達成がますます遠のく一方で、社会の大きな転換の機会も与えられています。
そのような環境下で、SDGsの課題を事業として解決するための新しい取り組みがスタートします。世界最大級の国際機関である国連開発計画(UNDP)が2019年に開始した、世界60ヵ所に展開(対象は78ヵ国)する「UNDP Accelerator Labs(A-Labs)」が特定した課題を、日本企業が「SDGs Holistic Innovation Platform(SHIP)のノウハウを活用してSDGs達成へ向けた課題解決を追求する「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を内閣府からの資金拠出を原資として実施します。
本事業は、5ヵ国のA-Labが特定した課題について、日本企業の技術・ノウハウ・ネットワークを活用した課題解決の初期段階の検討を共同で行うことを目的とします。現地課題と日本企業の強みを単純にマッチングするのではなく、事業を通した課題解決のための初期段階のプロセスである持続可能なビジネスモデルの構築とその検証プロセスを、SHIPのノウハウを活用しUNDPと日本企業が共同で行っていく画期的な試みです。
地球規模の課題解決にイノベーション活動やビジネス活動を通じて取り組みたい企業、自社の強みを社会課題の解決に活かしたい企業、国際機関と協業しSDGs達成に貢献されたい企業にとっては絶好の機会です。

【募集対象】
自社の強みを活かしてSDGs解決をめざす日本の民間企業

【今後の予定】
国別説明会(10月下旬予定)
企業からの参加募集(11月予定)
選選選定結果の発表(11月下旬予定)
プロジェクト開始(12月予定)

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[トルコ]繊維産業で働く女性の過酷な労働環境

世界のグローバル化・ファストファッションの流行により、発展途上国の一部では多くのファストファッション工場が立ち並び地域の経済の発展に貢献しています。一方で、低価格化競争のしわ寄せが下請け企業に及ぶことで、労働環境の粗悪化・低賃金等の労働問題の温床になっているという側面もあります。

GAP, H&M, ZARAなど、世界のファストファッションブランドの製造工場が立ち並ぶトルコは、古来より美しい織物の技術が栄えてきた国です。繊維品輸出は輸出総額の25.9%を占め、繊維産業はGDPの7.5%、工場生産全体の19.9%、製造業雇用の23.9%を生み出しています。また、アパレル輸出では世界第4位、テキスタイルでは第10位に位置しています。中でも、トルコの経済発展を担う繊維産業で活躍を見せているのが女性労働者です。トルコの女性就業率が22%と、近隣の中東・ヨーロッパ諸国と比較すると低い中、繊維産業に限ってはその状況は一変し、40%までその就労率は上がります。このように、繊維産業では若者から年長者まで多くの女性労働者が働いていますが、一方で男女での労働格差は深刻な問題となっています。

 イスタンブールの繊維工場では、女性の働き方に関して、女性ならではの就労上の都合が考慮されない場合が多くあります。

例えば、職場でのセクシャルハラスメントの横行、女性社員は男性と同じかそれ以上の量の仕事を任されているにもかかわらず、低い賃金しか得られないという現状が挙げられます。また、生理による休業が有給として認められておらず、生理休業を取った際には3日分の給料をカットされるという賃金の大幅なカットも女性社員を苦しめています。

労働環境における女性の地位向上は多くの国における課題ですが、女性管理職や女性社員が多く多様性が認められる企業では、同業他社と比べ生産性が高く業績がアップしていることもいくつかの統計で指摘されています。ビジネスの成功や経済成長における女性の働く環境整備の重要性は、世界的にも証明されてきているのです。

2020.9.2 UNDP(国連開発計画)のSDGsビジネスの新しい取り組みについてのウェビナーのお知らせ(9/15&9/16)

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Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs
日本企業様向けウェビナーのご案内
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SDGsが国連で採択されてすでに5年が経ちました。多くの日本企業にとってSDGはビジネスの機会であると言われるものの、そのやり方は暗中模索であるのが実態です。また、自社の活動をSDGsに紐づけて説明することで立ち止まっている企業も数多く見受けられます。コロナ禍が私たちのこれまでの価値観の再考を迫り、SDGsの達成がますます遠のく一方で、社会の大きな転換の機会も与えられています。

そのような環境下で、SDGsの課題を事業として解決するための新しい取り組みがスタートします。世界最大級の国際機関であるUNDP(国連開発計画)*が2019年より開始した、世界60ヵ所に展開(対象国は78ヵ国)するUNDP Accelerator Labs(A-Labs)が特定した課題を、日本企業がSHIP(SDGs Holistic Innovation Platform)**のプラットフォームを活用してSDGs達成へ向けた課題解決を追求する「Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs」を内閣府からの資金拠出を原資として実施します。

本事業は、5ヵ国のA-Labが特定した課題について、日本企業の技術・ノウハウ・ネットワークを活用した課題解決の初期段階の検討を共同で行うことを目的とします。現地課題と日本企業の強みを単純にマッチングするのではなく、事業を通した課題解決のための初期段階のプロセスである持続可能なビジネスモデルの構築とその検証プロセスを、SHIPのノウハウを活用しUNDPと日本企業が共同で行っていく画期的な試みです。

地球規模の課題解決にイノベーション活動やビジネス活動を通じて取り組みたい企業、自社の強みを社会課題の解決に活かしたい企業、国際機関と協業しSDGs達成に貢献したい企業にとっては絶好の機会だと思います。概要説明及び課題紹介を行うウェビナーを開催いたしますので、奮ってご参加ください。

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【概要説明ウェビナー】
第1回  2020年9月15日(火)12:00 – 13:00
第2回  2020年9月16日(水)18:00 – 19:00

1. UNDP A-Labsについて
2. Japan SDGs Innovation Challenges概要
3. 質疑応答

参加費:無料
お申込み:
第1回(9/15(火)12:00~13:00)申込フォーム
第2回(9/16(水)18:00~19:00)申込フォーム
問合せ先:SHIP事務局 ship@ji-network.org
※第1回と第2回の内容は同一です。どちらかご都合の良い日時にご参加ください。
※対象となる5つのA-Labが抱える社会課題の詳細は、課題紹介ウェビナー(英語)にてご説明予定です。日程は追ってSHIPホームページに掲載いたします。
※応募にあたっては、可能な限り概要説明ウェビナーと課題紹介ウェビナーの両方へのご参加を推奨いたします。

【募集概要】
・対 象 者:自社の強みを活かしたSDGs解決を目指す民間企業
・対 象 課 題 : SDG 3 (Good health and well-beingすべての人に健康と福祉を)、SDG  11 (Sustainable cities and communities:住み続けられるまちづくりを)、SDG 12 (Responsible consumption and production:つかう責任、つくる責任)、SDG 13 (Climate action:気候変動に具体的な対策を)
・活動対象国:インド、フィリピン、ベトナム、トルコ、マラウイ

【今後の想定】
1. 概要説明ウェビナー(9月15日(火)12:00 – 13:00、16日(水)18:00 – 19:00)
2. 課題紹介ウェビナー(活動対象の5ヵ国の課題を紹介。9月下旬から10月初旬を想定)
3. 募集締切(10月中旬予定)
4. 選定結果の発表(11月上旬予定)
5. プロジェクト開始(11月予定)

*UNDP(国連開発計画)は、貧困の根絶や不平等の是正、SDGsの達成に向けた取り組みを支援する国連の主要な開発支援機関であり、約170の国や地域で活動を行なっています。SDGs達成に向けた現地の社会課題等の調査・分析及び課題の解決を模索するため、シュタイナー総裁の強いイニシアティブのもと、2019年8月、世界各地に60ヵ所のA-Labを設置しました。UNDP総裁直轄プロジェクトであるSDGファイナンス・イノベーション・ローカリゼーション推進の一環として、各ラボはイノベーションの一翼を担う位置づけとなっています。
**SHIPは、SDGsの達成をイノベーションの機会として捉え、企業の技術・ノウハウで世界中の課題の解決することを目的として2016年に一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)とUNDPが合同で設立したオープン・イノベーション・プラットフォームです。JINとUNDP駐日代表事務所が共同運営しています。

[モザンビーク] COVID−19により広がる教育格差

COVID-19の影響は世界的な経済面の格差にとどまらず、教育の格差についても顕著に表す状況を生んでいます。オンラインでの授業が一般化していく中で、インターネットへのアクセスの可否は世界的な教育格差をより一層大きくしつつあります。

先進国の高所得者層の家庭はオンライン教育への移行が容易に進んだ一方で、発展途上国を中心とした低所得者層の多い地域ではオンライン教育の十分な供給が難しい状況にある為です。

南アフリカ共和国の北西に位置する国、モザンビーク。独立直後、15年間続いた内戦によって発展が遅れたものの、アルミ製錬事業や水力発電などの大型プロジェクトによる経済の牽引、豊富な鉱物資源と農業開発のポテンシャルを活かし好調な経済成長を維持してきました。しかしながら、依然として世界の最貧困国の一つとして数えられ、特に社会セクターに多くの課題を抱えていることも事実です。

教育に関しては、94%の児童が小学校に入学しますが、そのうちの60%近くの児童が初等教育を修了する前に中退してしまいます。女性の教育水準に至っては1%の学生しか大学まで学業を続けることができない状態です。

COVID-19の影響により、対面授業が困難になった今、子供たちの学習継続はさらに困難になっています。

モザンビークでは、授業をラジオ配信で行う措置を取りましたが、教師と生徒の間でコミュニケーションを取ることはできないため、授業への質問を初め、様々な授業に必要なやりとりができない状態が続いています。

[ジャマイカ] 治安悪化や差別集落の形成を助長するジェンダー不平等

管理職における女性の割合が実に過半数と、世界でも女性の社会進出が進んだ国のひとつである、ジャマイカ。高級官僚やビジネスエリートから、商店を切り盛りするおかみさんまで、町の至る所で活躍する女性の姿が見られます。しかしそれは、決して男女平等な社会を意味する訳ではありません。

南北アメリカの薬物や武器の密輸中継地であり、拳銃犯罪や性犯罪が横行する首都キングストンは、殺人事件の発生率が世界第2位(2017年、10万人あたり57)。

また産業も乏しく、20代の失業率は約3割でそのうちの6割は男性です。植民地時代に奴隷同士の婚姻が認められなかったカリブ諸国では、現在でも生まれてくる子どものうち半数以上が婚外子。女性が大黒柱となり働きながら子供を育てる「母系社会文化」 が定着しており、学業からドロップアウトした不良少年や、就業機会に恵まれず家庭にも居場所がない男性に対する社会支援やセーフティネットはなく、ギャング団で密輸や詐欺、強盗などの犯罪に手を染め生計を立てるケースが後をたちません。

また、「男性は男性らしく、女性は女性らしく」という異性愛尊重の文化があり、LGBTや性同一性障害を持つ人々への偏見や差別が根強く残っています。背景には「ラスタファリズム」という土着の信仰による考え方があると言われていますが、そんな世間の差別を逃れて、スラム街でひっそりと暮らすLGBTのコミュニティも存在します。

ジェンダー推進は、決して女性の社会進出を助けるだけが解決手段ではありません。ジャマイカの治安を改善し、貧困を削減するためにも、多様なジェンダーを受け容れ、エンパワメントできる社会になることが、重要な課題となっています。

[ベトナム] ロックダウンで深刻な危機に晒される貧困層の生活

2020年3月時点の世界銀行の報告書によれば、東アジアと太平洋地域の国々の貧困層の約2400万人が、コロナウィルスの感染拡大による貧困レベルの悪化によって、更に深刻な人道的危機にさらされることを伝えている。

事態を悪くしているのは、コロナウィルスという未知の感染病による健康や生命維持に対する危機のほか、ロックダウンなどの国の措置によって日々の生業を失うことによる経済的損害という二つの大きなリスクが起こることだ。

同報告書では、東アジアなどの地域においてコロナウイルスによる影響を特に受けやすい業種として、ベトナム、カンボジアなどの「製造業」や、タイ、太平洋諸島の「観光業」を取り上げている。

そんな中、各国で具体的な支援活動を始める人々もいる。

ベトナムは、ロックダウンの間、約500万人が経済活動をストップせざるを得ず、生計を立てられない状態になっている。しかしそのベトナムで、貧しい人々を飢餓から救うべく斬新なサービスを普及させている人物がいる。同国でセキュリティサービス会社を営むHoang Tuan Anh 氏である。

ベトナムは、厳格な水際対策や国が一丸となっての社会行動抑制や都市封鎖の対応が奏功し、コロナウィルスによる感染被害は国際的にみても比較的少ないといわれている。しかし、その徹底した感染拡大防止措置により、経済的弱者である貧困層は、収入源は絶たれ、その生活が困窮を極めている。そこで彼が考え付いたのが無料の「お米ATM」である。

第1号を設置したのはホーチミン市内。そのATMからは、一回につき約1.5kgの米を出すことができる。最新のテクノロジーを駆使した機械ではないものの、そのシンプルさゆえに、効果を発揮しているという。

Hoang Tuan Anh 氏は当初、限られた期間のみ、このATMを稼働させることを考えていたが、このATMの社会貢献度の高さや、COVID-19の先が読めない事態を考慮し「(コロナウィルスが終息した後も)貧しい人々のための一つのサービスとして運営し続けることを望んでいる」という。現在、ハノイ、ダナン、メコンデルタを含む全国の30か所に設置された。同氏の活動に賛同した国内外の1,000人以上のスポンサーからの支援もあり、同氏は「最終的に100程度のATMを開設したい」と話している。

課題解決に、高度な技術や複雑なビジネスモデルが必要とは限らないことを語る好例と言えるのではないだろうか。

この例のように、パンデミックという特殊な社会情勢に翻弄され、困窮する人々の課題に、簡易かつ迅速に、そして効果的に働きかけられる解決法が、今、求められている。

[バハマ] COVID-19問題で危機に立つカリブ海諸国の観光業

COVID-19の猛威は今もなお衰えず、その影響によって世界の各地で先の見えない戦いが続いています。人々の各国間の移動はほぼ停止状態となり、観光分野の経済には特に大きな影響が出ています。

北カリブに浮かぶバハマ。そのGDPの約70%を観光産業が占める、典型的な観光立国の一つです。

フロリダ半島から100㎞余りという至近さで隣国アメリカの観光客からの人気も高く、ソーシャルメディアで話題になった「豚が泳ぐビーチ(ピッグビーチ)」を始めとする美しい浜辺等、世界中の憧れのリゾート地の一つといえるでしょう。人口35万人のこの小さな島国に、年間600万人以上もの人々が訪れていたことで、その人気の高さが分かります。

しかし、今年初めから世界に感染が広がったCOVID-19の影響により、バハマ政府は2月より、出入国制限を開始。それを皮切りに、状況は一転しました。
外貨獲得の手段を封じられたカリブ諸国は、軒並み国債の格下げとなり、さらには食糧や燃料の輸入、債務支払など、当面の財政危機にも晒されています。

ホテル、クルーズ船、港湾、ツアーガイド、外食や小売業等、観光に関わる全ての産業が現在、休業や廃業を余儀なくされ、そこに携わっていた人々もまた失業に追いやられています。

首都ナッソーにある総工費1000億円のカジノリゾート「アトランティス・パラダイス・アイランド」は、バハマにとっての重要な観光拠点の一つでしたが、今年3月から閉鎖されたまま、未だに再開の目処は立っていません。

もともと医療資源が限られるバハマのような小島嶼国は、日頃の取り組みに加えて、外国からのウィルス侵入を防ぐための水際対策の整備が重要です。先進国のようにあらゆる危機に迅速に対応することができないため、海外からの観光客を、安心して迎え入れられる体制が整うまでは、観光立国として再開の目処は立てられないのです。

 

COVID-19による負の連鎖から一刻も早く抜け出し、まずは、経済活動を始めるための基本的な体制を整えること。

そのための施策が今、求められています。

[ジャマイカ] 自然災害と隣り合わせの都市と貧しい集落

カリブ海の北に位置するジャマイカ。中世の探検家をもって「今まで見てきた中で最も美しい島」と言わせしめた、美しくのどかな自然の風景のみならず、レゲエ音楽といった独特の音楽や、世界大会で活躍する陸上競技選手が注目を集めるなど、様々な魅力で世界の人々を惹きつけています。

しかし、そんなジャマイカの歴史は、常に自然の猛威による災害と隣り合わせの歴史でもあります。

毎年のように見舞われるハリケーンに加え、カリブの海賊たちの聖地「ポート・ロイヤル」など歴史遺産を一夜にして壊滅させた大地震。雨季に起きる頻繁な洪水は、停電や渋滞で都市機能を阻み、沿岸や河口で暮らす貧しい集落を不衛生な環境に追いやります。

英米への出稼ぎによる仕送りやビーチリゾートの観光収入に支えられた経済は、ひとたび自然災害に遭うとたちまち人々の生活を揺るがし、救えるはずの市井の営みや産業が、取り返しがつかない程の大打撃を受けることになるのです。

“ハリケーン”の語源は、ジャマイカ先住民のアラワク語であるということからも、この国が何世紀もの間この自然の驚異にさらされながら歴史を歩んできたことが伺えます。

自らの命を守り、町を守り、国を守る一人ひとりの努力を支援するような、新しい仕組みや技術が求められています。