北京での不動産価格や生活費の高騰により、郊外の「ベッドタウン」(大都市への通勤者が多く住む都市)への引越しを余儀なくされている人が急増している。例えば、北京から35キロ離れている河北省燕郊は、20年前は人口3万人だったが、今では人口100万人の都市まで成長し、通勤者をターゲットにした朝食市場や違法タクシーが増加している。
北京の住民の平均通勤時間は52分だが、郊外から通勤する人々は片道2〜3時間かけているケースが多くあり、交通費だけで社会人の初任給程に達する場合もある。また、通勤中は読書やオンライン・レッスンなどで時間を有効活用する人もいれば、窮屈な満員電車に立ったまま時間を過ごす人もいるため、単に通勤を叶えるのではなく、より快適・効率的な通勤を叶える必要がある。
長い通勤時間の原因の一つとして、鉄道などのインフラ設備が人口増加に追いついていない地域が多く、郊外ではバスやタクシーを使い、都心部では電車に乗り継ぐなど、様々な交通手段を使い分けて通勤している。結果、郊外では道が渋滞し、都心部でも電車は満員になり、更に通勤時間が長くなるという悪循環に至ってしまう。