2023.1.11 Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 選定結果について

2022年10月21日に公募を開始した、Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labsにつき、下記のとおり、協業企業が選定されました。

[ジンバブエ] ペガラジャパン合同会社
[サモア] 株式会社シンクシー

説明会にご参加頂き、プロポーザルをご提出頂いた多くの企業の皆様に感謝申し上げます。

主催:UNDP Accelerator Labs
運営協力:SHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)

【ご参考】募集要項(2022年10月21日)

2021.12.23 Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs【南アフリカ】選定結果について

2021年11月12日に追加で公募を開始した、Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labsの南アフリカプロジェクトにつき、下記のとおり、協業企業が選定されました。

[南アフリカ] 海藻資源研究所株式会社

主催:UNDP Accelerator Labs
運営協力:SHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)

【ご参考】募集要項(2021年11月12日)

2021.11.04 Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 選定結果について

2021年8月4日に公募を開始した、Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labsにつき、下記のとおり、協業企業が選定されました。

[マレーシア] AGCグリーンテック株式会社
[ブルキナファソ] 株式会社天地人

なお、インドネシアについては選考の結果、該当企業なしという結果になりました。ついては、南アフリカ(海藻養殖業およびそのバリューチェーンの構築)についてのご提案を追加で募集いたします。具体的な内容とスケジュール等については、近日中にお知らせいたします。

主催:UNDP Accelerator Labs
運営協力:SHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)

【ご参考】募集要項(2021年8月4日)

[トルコ]無計画な都市開発によるゴーストスペースの出現

中央アナトリア地方に位置するトルコの首都アンカラ。歴史的建造物に加え、オペラやバレエ、交響楽団など文化・芸術の拠点としても国際的に名高い巨大都市です、十分な計画のなされないまま行われてきた都市開発による、公共スペース等のゴースト化が近年問題になっています。

第二次世界大戦以降、トルコでは急激な人口増加に伴い都市化が進みました。アンカラでは、1955 年より計画の見直しがはじまり、現地政府や自治体・建築家がデザインを一手に担うトップダウン型の都市開発の潮流が確立されます。特に、1983年以降に域内が5つの市に分割されてから、自治体の意思決定権はさらに強固なものとなりました。加えて、近年の財政危機は公共事業の中断を招き、新しいインフラ開発プロジェクトは軒並み凍結。民間工事の70%が中断している状況が、街のゴーストスペース化に拍車をかけています。

トップダウン型のまちづくりと情勢不安が生み出したゴーストスペースは、多くの市民の利用目的に沿わず、景観や治安上の問題だけでなく、市民の無力感を増大させたり、地域に対する住民の知識や所属意識の欠如を招いたりする原因になると指摘されています。人通りの少ない場所は犯罪リスクが高まるため、ゴーストスペース化は街の治安維持や住人の幸福度、旅行客の動員などにも影響が出る問題です。このような現状から、トルコでは市民の生活の質の向上を目的とした、市民のニーズに寄り添ったまちづくりが急務となっています。

またトルコは自然災害も多く、近年のトルコ・ギリシャ沖地震は人命の損失だけでなく、大きな経済損失や財政不安ももたらしました。防災技術を備えた建築設計により、ゴーストスペースの解消に加え、人命や経済、自治体を守ることも必要です。

[マラウイ]急速な都市化により悪化した都市衛生

[マラウイ]急速な都市化により悪化した都市衛生 

 

マラウイは、近年急速に都市化が進むアフリカ大陸南部に位置する人口約1800万人の内陸国です。国内で最も大きな都市の人口規模で100万人規模ではあるものの、都市化率は4.19%と高く、廃棄物の処理に関する問題が浮き彫りになりつつあります。国内の廃棄物排出量は、年間30万トンにも及ぶのに対し、収集率は12%と極めて低い水準で、特に首都リロングウェや主要都市のブランタイアでは、多様化するごみの収集能力、輸送管理、粗悪なコンポストのキャパシティ不足。それによる悪臭等の感覚環境問題など、様々な課題が表面化しつつあります。

 

たとえば街で散見されるのは、ごみの散乱と投棄。特に路地や空き地などの公共サービスの行き届いていない区域では、投棄環境問題だけではなく治安の悪化にもつながっています。また、アフリカにおける主要な廃棄物である有機ゴミは、ハエなどの害虫を引き寄せる事が多く、害虫の糞口感染によって胃腸炎やコレラなどの病気が蔓延するリスクを高めています。プラスチックゴミについても、ゴミに溜まった水は蚊を繁殖させ、デング熱や黄熱病を広げる結果となっています。現在サブサハラでは、70%を超えるゴミがオープンダンプサイトに投棄されており、害虫・害獣の問題を発生させているだけでなく、温室効果ガスがコントロールされないままに放出されているために気候変動の原因にもなっています。

加えて、生ごみなどの有機物以外の、処理の難しいゴミに対する能力不足も廃棄物問題を深刻化させます。経済成長に伴い、プラスチックや電気電子製品、タイヤなどの処理に特殊な技術を要する廃棄物も増えつつあります。これらを適切に処理する技術や法制度が整っていない地域では、作業者に健康被害が出るケースや、環境汚染を引き起こすケースが多く見られます。

 

早急な対策が必要とされる廃棄物処理に対し、現地UNDP A-Labは、都市部の廃棄物収集・処理事業の能力向上や、プラスチックごみの再利用などのスケールアウトの検証を行うべきだと分析しています。先に記載した様に、アフリカは経済成長が目覚ましい注目の大陸です。マラウイ政府は新しいテクノロジーやスタートアップに対しても寛大であり、国内にビジネスとして取り入れることを前向きな姿勢で望んでいます。その一方で、マラウイはアジアやアフリカの大国と比較すると、内陸国家であることもあり海外のノウハウが届きにくく海外からの企業の参入が未だ少ない国です。その為、いち早くビジネスを立ち上げることでファーストムーバーとして経営を確立できるチャンスがある国でもあります。小国家ならではの新しいテクノロジー導入の際のデータ収集のしやすさや、新事業に前向きなマラウイの文化は、日本企業にとっても新しいビジネスの導入検討に際したサンプリングができるなど様々なメリットが期待できます。

 

[ベトナム]廃棄物処理、プラスチックごみの収集・廃棄

ベトナムでは、急速な都市化に伴い、廃棄物の処理能力の低さが問題化しています。ベトナムの主要都市ではごみ処理場がすでに処理能力を超えていたり、処理場が深刻な汚染により閉鎖したりするなど、各地でごみ処理場が能力超過の危機に直面しています。

 

UNDP A-Labによれば、たとえばダナン市では、毎日900~1000tの生活ごみが排出されており、排出量は2025年には年間5,200万トンに増加すると予測されています。現在の処理能力は、質・量ともに廃棄物の増加量に追いつかず、埋め立て処分される廃棄物は全体の70%で、残りは焼却や不法投棄されています。また、収集率も都市部では85%以上ですが、農村部では40%~45%と格差があります。すでに受入能力を越えつつある埋め立て処分場では、約1700世帯の周辺住民が、悪臭が漂う環境での生活を余儀なくされ、住民が埋め立て処分場へ通じる道路を封鎖し、ごみ収集者の侵入を妨害するなど、ゴミ問題は住民と自治体の争いにも発展しています。また、不適切な廃棄物処理は、汚染物質の漏洩など、環境・健康上の問題を引き起こす懸念があります。

 

そこでダナン市では、廃棄物処理能力の改善に向けて廃棄物処理のシステムデザインと導入を検討しています。日本企業の技術で特に期待が寄せられているのは、プラスチックごみの削減に係る3つの技術です。

 

  プラスチックの代替包装材料の導入

サプライチェーン上流における対策として、プラスチックに替わる包装材を導入する事で、廃棄物とプラスチックの更なる蓄積を防ぐ効果が期待されています。 

 

  衛星や探査機による廃棄物の測定

サプライチェーン下流での対策では、衛星やドローンの画像などの新しいデータソースやテクノロジーを使用した廃棄物測定のソリューションが特に必要とされています。日本企業の技術導入によって、こうした新しいテクノロジーを使用した革新的な廃棄物の管理方法を確立する事が期待されています。

 

  E-waste(電気電子機器廃棄物)の処理能力向上

最後に、電子廃棄物に対するソリューションです。電子機器のバッテリー電子廃棄物の収集と管理は、通常の廃棄物とは異なる処理技術を必要とし、正しい処理が行われない場合有害なものとなります。現在のベトナムのシステムでは、迅速に電子廃棄物を管理・処理するための設備が整っていないため、電子廃棄物の処理に関する技術導入も喫緊の問題となっています。

ベトナムの廃棄物処理に関する課題解決において、日本企業独自の技術が貢献できる可能性があります。

 

[日本]コロナ禍で浮き彫りになるフラワーロス

クリスマスや新年の祝い事、成人式と、年末年始の様々なイベントを華やかに彩る生花。しかしながら、コロナ禍で多くの催事が中止やオンライン化する中で需要が低迷し、生産された生花が大量に廃棄される「フラワーロス」の状況が浮き彫りになっています。常に生花業界に内在していた課題が顕在化し、各業界で解決に向けた新たな試みが始まりました。

 

ロスフラワーを使った装飾での課題発信

ラフォーレ原宿では、今年のクリスマスシーズンの装飾に廃棄された生花「ロスフラワー」による館内装飾をほどこしました。廃棄植物を用いた空間装飾やフラワーアレンジメントの教室などを手掛ける株式会社RINがプロデュースした装飾は、訪れる人々の目を楽しませるとともに、持続可能な社会に向けたメッセージを発信。

一度廃棄され活力を失った生花も、手入れにより見事に息を吹き返し、また、ドライフラワーとしてアレンジすれば見事に美しい姿で人々を楽しませてくれます。

 

「チャンスフラワー」としての格安販売と再利用

廃棄予定の生花を「チャンスフラワー」とブランディングし、フラワーロスの削減に努める生花店もあります。東京都港区の生花店hananeでは、生産量全体の2〜3割をも占める規格外の生花を農家から買い取り、1本100円程度と市場価格よりも廉価にに消費者に提供しています。

hananeにおけるチャンスフラワーの売上は、多い時で月間9000本。2020年からはブックオフの一部店舗でも取扱いがはじまるなど事業は広がりを見せています。

 

 

日本国内の切り花の購入金額は1990年代をピークに業界全体で右肩下がり。

そんな時流においても、生花業界は生産者から農協や市場が買い取り、卸業者を通して小売業者が消費者に販売するという典型的なプロダクトアウト型の構造をしているため、「規格ロス」の他にも、流通過程で発生する「マージンロス」や、小売店における需給のアンバランスによる「鮮度ロス」と、多段階のロスが発生しています。また、一般的に出荷数の約3割が過剰在庫として廃棄されるため、損失分の仕入れコストを上乗せした販売価格が設定され、消費者の足が遠のくという悪循環も指摘されています。

定期的に一定量の旬のお花が手に入るサブスクリプション型の販売など、イノベーションが起こりつつある生花業界に、サステナブルな取り組みが求められています。

2020.12.11 Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labs 選定結果について

2020年10月13日に公募を開始した、Japan SDGs Innovation Challenge for UNDP Accelerator Labsにつき、下記のとおり、協業企業・団体が選定されました。

[インド] NEC Corporation India Private Limited
[フィリピン] 有人宇宙システム株式会社
[ベトナム] 有人宇宙システム株式会社
[トルコ] 一般社団法人ソトノバ
[マラウイ] 選定企業・団体なし

説明会に多くの企業にご参加頂き、充実したプロポーザルをご提出頂いたことを感謝申し上げます。

主催:UNDP Accelerator Labs
運営協力:SHIP (SDGs Holistic Innovation Platform)

【ご参考】応募要領(2020年10月13日)

[フィリピン] プラスチックゴミ問題と都市開発

UNDP Accelerator Labsフィリピンによると、世界では年間800万トンのプラスチックゴミが海洋に流れ出ています。紙や牛乳パックが捨てられてから土に還るまでの期間はおよそ2週間〜5年であるのに対し、ペットボトルなどを含むプラスチックゴミの残存期間は400年以上。長期間にわたり生態系に影響するため、たとえば、海に沈んで蓄積することで海底の無酸素状態を引き起こし生物を窒息させてしまう原因になったり、水中に届くはずの光も遮り光合成を阻害することで海藻や珊瑚に深刻なダメージを与える恐れがあります。

また、これによりプランクトンや海藻の量が減ると、それらを餌にする海の生物の漁獲量にも影響を及ぼします。その問題の深刻さは、National Geographic2048年までに食用の魚がいなくなる恐れがあるという見解も出しているほどです。

また、経済成長著しい国では、急速な都市化が進んでいます。たとえば、フィリピンでは人口の60%が沿岸自治体及び沿岸都市内に暮らし、プラスチックの年間排出量は毎年270万トン。しかしながら廃棄物の処理能力は限られ、誤った方法で管理されているプラスチックはこのうち188万トンに上ります。海洋ゴミの排出量は世界第3位 にあげられ、特に人口が集中するマニラ湾の海洋廃棄物管理は、喫緊の課題です。

日本では2020年7月より買い物袋の有料化がはじまりましたが、フィリピンでも、プラスチックごみを減らすために使用制限やごみの適切な回収を呼び掛けるなど、様々な取り組みが既になされています。

 

1 . プラスチック包装の禁止

UNDPフィリピンのオフィスがあるマカティ市では2013年からプラスチックチックの使用が可原則禁止されています。

例えば、カフェやファストフード店では原則として紙製のストローが使われています。飲食品の小売店でもプラスチックのスプーンは提供せず、イートイン客にのみステンレス製のスプーンの提供を行っています。

 

2.  廃プラスチックとコメの交換

プラスチックごみを独自にコメと交換する自治体もあります。たとえば、マニラ首都圏モンティンルパ市 バヤーナンという集落では、2キロの廃プラスチックを1キロのコメと交換しています。廃プラスチックは本来1キロで7ペソ(約15円、1ペソ=約2.1円)にしかならないところ、30~40ペソ相当のコメを支給することで、市民の環境を配慮した行動を促しているのです。

加えて、人口1億700万人のうち約2割が貧困ラインで生活するフィリピンでは、穀物の配布が貧困削減や栄養状態の改善にもつながる他、町の浄化によるデング熱などの感染症予防にも役立つことが期待されています。

 

プラスチックごみによる環境被害は都市化とも密接に連携し、課題解決が急がれています。日本のリサイクル技術や処理技術が、フィリピンの課題解決に一石を投じる可能性があります。

[インド] 小規模農家の所得問題

     農業は第一次産業として、私たちの食糧需要を賄う重要な産業です。インドでは総人口の50%を占める1億3600万世帯が農業に従事し、その8割が2ヘクタール未満の小規模農家。このうち、5分の1以上の世帯が貧困層とされています。一方、インドは世界最大のスパイス生産者かつ消費者であり、年間輸出額は28億米ドルにのぼります。この、輸出売上に対し生産者収入が低いという構造には、農業技術とサプライチェーンの不平等が関係しています。

小規模農家の技術的な問題
多くの農家が資金不足に悩まされており、農業機械の普及率は1割程度に止まっています。農家の大半を占める零細・小規模農家は伝統的な農具(人力、畜力)による農作業を行っており、たとえ機械化のために集落での共同利用や農業機械所有者による賃耕活用しても、タイミング良く利用できないなどの問題があります。貯蔵施設の利用も大規模農家に止まり、適切な保存ができない小規模農家は、収穫期に低価格での販売を強いられ、利益が目減りしてしまいます。また、農民の多くは十分な教育を受けておらず、約3割は読み書きができません。自ら望んで農業に従事していない者が多いために向上心は低く、さらなる利益を見込める作物の選択や栽培方法、販売先などを選択することができないと指摘されています。こうした知識不足を埋め合わせるシステムにアクセスする手段がないことも、農業収入が増えない要因となっています。

サプライチェーンの問題
従来農産品は、1954年に制定された農産品流通委員会法(Agricultural Produce Market Committee:APMC)に基づき、州政府管轄の卸売市場である「マンディ」で通商許可を持つ仲買人による農産物の競りが行われてきました。しかし、競争性のない独占的な仲買により、売手である農家は提示された価格を受け入れるしかなく、また過剰な手数料をとられるなど不当な扱いを受けることもあります。農産物が消費者のもとに届くまでには複数の仲買業者の手を渡りますが、農家の売上は最終小売価格の3割前後まで圧縮されているとも指摘されます。
また、多くの地域では安全な交通インフラや保管、加工する環境が整っていないために、商品の形が損なわれるほか、配送が遅れるなど、特に生鮮食品についてはサプライチェーンの過程で約30~40%が廃棄されてしまっています。

SDGsビジネスのチャンス

1991年の経済自由化をきっかけに民間企業が農業セクターに参入できるようになったことから収穫後の農産物の輸送や保管状況が改善、さらにIT革命が相まって農産物市場の効率性も向上してきています。しかし、その改善は未だ小規模農家に浸透しきっていないのが現状です。スパイス農家の技術向上やサプライチェーンに関する課題解決には、企業にとって新たなビジネスチャンスとなる可能性が秘められているのではないでしょうか。