バングラデシュ南東部の県コックスバザールには、自国を追われ、バングラデシュへ逃れてきたミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ難民が避難生活を送っており、その数はおよそ100万人を超えるとされる。
現在、コサックバザールは世界最大の難民キャンプともいわれているが、この巨大な難民キャンプは過密状態であり、難民の多くは地盤の緩い斜面に建てられた防水シートと竹でできた掘っ立て小屋などでの生活を強いられている。
コサックバザールは、モンスーンの季節には降水量が非常に高く、年はサイクロンによる洪水や土砂災害が引き起こされ壊滅的な被害を経験している。加えて、そのような環境下では、難民キャンプへのアクセスも度々遮断され、支援物資を難民のもとへ届けることが非常に困難となる。そのため、コサックバザールで暮らす難民は、ミャンマー国内での迫害から逃れて難民キャンプに辿り着いたとしても、避難先での暮らしは非常に脆弱なものであり、人々は、住居の崩落や水害、また付随的に発生する食糧不足などへの恐怖や不安と隣り合わせの日々を送っていることが報告されている。