[日本] 老朽化が進んだ集合住宅に住む高齢者の住み替え問題

マンションやアパート、公団といった集合住宅の老朽化に伴い、住人の退去が必要になるが、高齢者はそう簡単に住み替えができなくなっている。

第一の理由は、高齢者を受け入れたくないという大家側の心理がある。高齢者で年金暮らしの場合、保証人がいないこともしばしば。諸事情で子供に頼めなかったり、頼れる身内がそもそもいないという、孤独な状態であったりするのだ。そうすると、認知症や病気になった際の対応についてまで大家が心配することになり、負担に感じてしまうという。また、万が一孤独死ということが起きた場合、部屋の現状復帰にお金がかかり、かつ、その評判から新しい借手を見つけることが困難になる。加えて、高齢者側が次の住宅を探すときには経済的なハードルも高いという。築30~40年の集合住宅の家賃は、月数万円と年金暮らしの高齢者でも生活費が捻出できる金額だが、その水準の物件を今住んでいるエリアで探すのは非常に難しい。

このように、安心・安全なまちをつくるためには、住宅環境の整備が必要だが、借手の高齢者の事情や貸手の大家の都合に折り合いがつかないため、一筋縄にはいかないのが現状である。ちなみに、65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、高齢者人口に占めるその割合は男性11.1%、女性20.3%となっている(2010)。よって、この問題は今後増えていくことが予想され、早急な対策の検討が必要とされている。

[バングラデシュ] 子供の栄養失調による発育不全

バングラデシュでは、全世帯の40%が貧困線以下の生活をしている。また、5歳未満の子供のうち、41%以上が慢性的な栄養失調による発育不全であり、36%が標準体重未満となっている。ビタミンやミネラルの不足は著しく、適切な身体および認知発達を損なってしまう。

また、過去に栄養失調だった子供は低身長や免疫力の低下、知的障害を抱える可能性も高い。現在、栄養失調の子供の命を救う方法はわかっているが、遅れてしまった成長を取り戻す方法は未だ明確ではない。 2014年6月4日付の「Nature」誌に発表された研究論文によれば、栄養失調の乳幼児の消化管では微生物の生態系が確立されていないという。現在の治療法では、この生態系を成熟させることはできない。例えば、栄養失調や下痢で入院している乳幼児64人に1~2週間にわたって抗生物質と栄養補助食品を摂取させ、その後家族に栄養補給の方法が指導された。しかし、もともと崩れていた微生物のバランスが最初に少し改善しただけで、その後はほかの子供に大きく水をあけられている。

栄養失調だけでなく、その後も子供が正常な成長を遂げられるようにする解決策が必要となる。

[日本] 生活用水の使用量が世界平均の2倍

東京都水道局が2012年に行った調査によると、日本人が1日に使う生活用水の使用量は平均290リットルであり、世界平均の約2倍の量を使用している。生活用水のうち、40%は風呂、22%はトイレ、17%は炊事、15%は洗濯に使われている。

日本の年間降水量は世界平均の2倍の1,718mmだが、国の面積が比較的小さい上に人口も多いため、一人あたりで換算すると世界平均の4分の1になってしまう。また、1965年から2000年までの間に生活用水の使用量の合計が約3倍に増えており、1998年をピークに緩やかに減少しているが、依然世界平均よりも使用量が多くなっている。つまり、一人あたりの生活用水の使用量は世界平均より多いが、降水量は世界平均より少なく、今後はより持続可能な水の使用が求められる。

[エチオピア] 身体障がい者の深刻な健康問題

身体障がい者の中には、足が全く機能せず、手を使って歩行し、そのことが原因でさらに状況が悪化し、感染症や他の重大な病気に掛かってしまう人が少なくない。2015年のWHOのデータによると、世界では、約7000万人の人が何等かの障がいを持っており、そのうちの殆どが途上国の農村部に住んでいる。農村部には、適切な保健医療サービスがなく、あっても非常にアクセスしにくい状況だ (ILO, 2013)。中でもエチオピアはアフリカの中でも最も障がい者が多いと言われており、その数は人口の17.6%にあたる150万人にも上る(CBM, 2015)。足に障がいを持つ人はそのうちの23%だ(DCDD 2017)。多くが貧困に直面しており、車いすや松葉杖といった移動に最低限必要な手段にも手が届かない。農村部のインフラも整っていないため、身体障がい者には厳しい生活環境となっている。この問題はエチオピアのみならず、多くの地域にも当てはまることだ。エチオピアでの解決策を切っ掛けに世界中の障がい者が暮らしやすい世の中を目指すべきだ。

[リベリア] 雇用を生み出す産業の不足

1989~2003年までの長い内戦から復興中であったリベリアを2014年にエボラ出血熱の大流行が襲い、国の復興がさらに遅れることになった。リベリアには雇用機会が少なく、とくに若者の失業率は深刻。産業の発展は海外からの投資に頼らざるをえないが、外資系企業の進出に関しては、土地の所有権や鉱物の採掘権に関する地元のコミュニティとの紛争も後を絶たない。

[全世界] プラスチック製造時に排出される二酸化炭素

地球温暖化には様々な原因があるが、温室効果ガスの中でも二酸化炭素が最も影響度が大きいと言われている。しかし、プラスチックなど、現代社会の生活からは切り離せない素材の製造工程で化石燃料を燃やす際に多くの二酸化炭素が放出されている。プラスチック産業は年間3700億ドルの価値があると推定されており、今後も人々の生活で使われ続けられると予想される。

バイオプラスチックなどのカーボン・ニュートラル(地上の二酸化炭素の増減に影響を与えない)な手法で地上の二酸化炭素を一定量に保つ事が目指されているが、現在の量を保つのではなく、量を今後減らしていく必要性が議論されている。

[カンボジア] 教育の質と高いドロップアウト率

カンボジアでは、1970-1993年の内戦中に多くの教育施設が破壊されて、多くの知識人が迫害され、命を落とした。内戦終了後に海外からの支援を受けて、多くの教育施設が建てられたが、教員の指導力と教育水準の低さが依然として課題。また、都市と地方で就学率・進学率に大きな差があり、教育へのアクセスおよび質に格差が生じている。初等教育におけるドロップアウト率(退学率)の高さも課題で、政府統計によると、例えば、コンポンチュナン県の小学校3年生が6年生に残る率は71%となっている(2012年時点)。国全体での小学校卒業率は96.3%(2014年、世界銀行)、成人識字率は78%(2015年、ユネスコ)。これらがカンボジアの発展の阻害要因のひとつになっている。

[インドネシア] 農家の高齢化と若者離れ

インドネシアの農業人口は、1980年代には全体の55%だったが、1990年代には45%、そして2012年には41%と低下を続けている。人口数で見ると2003年~2013年の10年間で500万人減少し、経済発展に伴って都心部での仕事の機会が増えたことによる若年層の農業離れが要因の一つと言われている。

また、2013年にインドネシア政府が実施した農業調査によると、同国の農業従事者の60.8%が45歳以上で、74.0%の最終学歴が初等教育にとどまっている。農家が新しい技術に触れる機会が少なく、この状況が続けば高齢化の進行と生産性の低下につながると警鐘を鳴らした。そして、民間団体が2016年に実施した調査によると、インドネシアの米農家の50%、園芸農家の73%が自分の子供には跡を継がせたくないと回答した。農家の子供へ行った調査でも、米農家の子供の63%、園芸農家の子供の54%が農業に魅力を感じないと答えた。現在の農家の教育や生産性の向上と合わせて、次世代の農家育成に取り組む必要がある。

[ナイジェリア] プラスチックごみによる環境問題

アメリカのジョージア大学の研究チームは、1950年以降に世界で製造されたプラスチック製品の総量は83億トンにも上り、そのうち63億トンが廃棄されたという推計を発表した。そして、リサイクルされずに、ただ捨てられるペットボトルや梱包材は年々増加しており、2050年には、プラスチックごみは120億トンに倍増するとみられている。また、毎年800万トンものプラスチックごみが海に捨てられている。特に、サブサハラアフリカ地域の新興国では状況が深刻である。例えば、ナイジェリアのラゴスの町は廃棄物で埋め付くされている。廃棄物収集のビジネスをしている起業家によると、現地では産業廃棄物を処理する施設への初期投資や、人材配置、インフラはもちろんノウハウも欠けている状況だと言う。

[イエメン] 紛争に巻き込まれた子どもの栄養失調と安全な場所の確保

中東の最貧国イエメンでは、2015月3月に激化した紛争により、4万人以上の死傷者が出ており、現在も220万人の子どもが重度の栄養失調で苦しみ、10分に一人の子どもたちが亡くなっています。2015年の1年間では、世界の紛争で最も多くの人々が住みかを追われた紛争となりました。イエメンは、その激しさと複雑さより「世界で最も活動することが困難な国」(WFP)とも言われており、また、世界の人々にその惨状が知られる機会は依然として限られています。

このような中、約18万人が難民となり、内約3.6万人が対岸のアフリカのジブチに逃れました。ジブチにある「マルカジキャンプ」では、子どもたちが紛争で傷ついた心を癒す機会もなく、また、大人の不満や不安が充満するキャンプ内で、子どもたちは、安全に遊ぶことができない状況にあります。